ばかの方舟

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これはすごい。短期間に3回も見返してしまいました。

東京で商売(妙な健康飲料の自主販売)に失敗して借金を作った冴えないカップルが、もう一度商売をやり直すべくイナカに帰ってみたものの、全くうまくいかずにさらに駄目なことになる、というストーリー。面白くなさそうなストーリーなんだけど、最高に面白かった。

とにかく主人公の男のダメ人間設定の完成度の高さがすごい。その設定が緻密に脚本に浸透しているために、開始30分、二人の一挙手一投足に「学力がない」「常識がない」「センスもない」「その上に運も悪い」「それなのに根拠のない自信を持っている」ということを示す要素がぎっしりと、しかし自然に詰め込まれています。

説明的なセリフやシーケンスはほとんどないのですが、観る者に、主人公に限らず登場する人間の、主人公との関わりを、すんなりと理解させる巧みさにはびっくりしました。軽薄な表現だけど、「話題にもならないくらい些細な"あるある"」の連鎖と言えるかもしれません。そして、その"あるある"の切り取りと組み合わせのセンスが卓抜しているから、この映画が成立しているのだと思います。

ダメな主人公と、共依存的にくっついている恋人の女の子の、悲しいまでに滑稽で愚かな毎日は、基本的にはものすごく面白く、笑いの対象です。
だけどその中に、笑いながらも「ここ実はちょっと笑えないのはナイショにしときたいな・・・」っていう気持ちにさせられるものが含まれています。

"バカあるある"を笑うっていうことは、ある部分で自分を笑うことでもあり得るわけですから、フクザツな気持ちになってしまう箇所がどうしたってあるわけです。そしてそれって、ちょっとしたノスタルジーにも通じていく感情でもあるので、単純に「バカが滑った転んだを観てワハハと笑う」という類の映画をみたときとは異なる、深みのある後味を残す結果になっているのだと思いました。

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映画と猫と旅行が好きな
70年代後半うまれの女性

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