ヤング≒アダルト ★★★

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DVDで鑑賞。

37歳でバツイチで元プロムクイーンで現在ぱっとしない生活をしている女性が主人公。高校時代の恋人から、子供が生まれたというお知らせのメールが届いたことで、変なスイッチが入ってしまい、彼に会いに田舎に帰ってうんざりするほどトラブルを起こすお話しです。ちょっと「ノン子36歳」に似てます。

この設定(落ちぶれ美人)は公開時からいろんなところでクローズアップされてるけど、だからといって女性のために作られたような映画ではないです。落ちぶれ美人の映画ではなく、成長しきれていない大人の映画です。落ちぶれ美人はわかりやすいアイコンであって、根本的には、根拠のない自信を決定的に喪失してしまった人が生きる、とても個人的な地獄のお話です。

ヒロインの生活のディティールや人との関わり方は、コメディとも言えるくらいデフォルメされているのですが、私は「こんなやついねーよ」と笑うことはできませんでした。正しく成長し、自意識を持て余すことなく生きている人だけが、このヒロインの愚かさを異次元のこととして笑うことができるのだろうと思います。

カメラの視点は徹底的に意地悪で、容赦なくヒロインのみっともなさをクローズアップします。ヒロインを演じるシャーリーズ・セロンはものすごい美人なのに、キャラクターの愚かさが先にたって美人であることを忘れてしまうほどです。その視点を作った監督も、持っている美しさを越える愚かさを演じたシャーリーズ・セロンも、すごい才能だと思います。

最終的に、ヒロインが愚かなりに自分に折り合いをつけて映画は終わるのですが、そこに救済はありません。ただただどうにか折り合いを付けるだけ。説明描写は全くないのですが、「ああ、こうやって折り合いをつけたんだな」ということを観るものに明確に伝える仕掛けがあります。ヒロインが、鬱屈したストーリーを締めくくって映画の画面から去っていくような終わり方には、観るものをほっとさせるものがあります。

男女属性を問わず自意識過剰な人にとっては、弱点を嫌な感じでこれでもかと刺激される映画だと思います。私は何度も、「痛い!もうやめて!」って思いました。で、最後まで観終わったところで「でもまあどうにかやってくしかないのだな、やっぱ」と思いました。

そういう意味で強烈に刺激のある映画だけど、そういう刺激を映画で受けることが自分にとってどういう意義があったのかというと、いまひとつ謎な気もするので★みっつ。

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映画と猫と旅行が好きな
70年代後半うまれの女性

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