bee: December 2009 - Archive

District9

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2009年に観た映画のなかで、最も面白かった映画です。アメリカ版のDVDで鑑賞しました。アメリカでは今年の8月に公開されました。日本では来年公開予定の模様です。

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さすがにあんまり情報がなさそうなのであらすじを簡単にご説明。英語で観てるので固有名詞などはわたしのノリで表記します。

ときはどうやら近未来。南アフリカのヨハネスブルグに、難破した宇宙船が不時着。宇宙船は故障していて、100万人(エイリアンの数え方がわからないので便宜上人間とおなじようにカウントします)以上ものエイリアンが帰れないまま約30年が経過。困った人類はエイリアンを District9 というエリアに隔離することに。結果、District9 はスラム化してしまい、困った人類はエイリアンをヨハネスブルグから遠く離れた新しい場所に移転をさせることを決め、立ち退きと移動のプロジェクトが始動。

プロジェクトのリーダーに選ばれた国連(的な組織)のエイリアン生活安全課(的な部署)に所属するエージェントのウィカスは、立ち退きの通告をおこなうためにエイリアンを戸別訪問することになるが、訪問先で奇妙な液体を浴びてしまったことから予想外の事態に・・・。

というおはなしです。

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以下感想。

娯楽作品としての完成度と、それだけではない奥行きある内容にダブルサムアップです。

アフリカ×エイリアンという組み合わせがまず新鮮。なにかと話題のヨハネスブルグに、100万人を越すエイリアンがごしゃごしゃと暮らしている絵柄はとにかく斬新です。
物語の展開もテンポがよく、予想不可能なため最後の最後まで観るものを飽きさせません。笑わせるところも心得てるなあというかんじ。南アフリカ生まれの監督ならではの余裕で、ゆかりのない者にはなかなか笑いの対象として取り上げづらい、アフリカの極端な文化と風俗と世相とをサラっとギャグにしています。

南ア、隔離、スラム・・・というキーワードからわかるように、アパルトヘイト政策が隠れたモチーフになっています。映画内で人種差別問題には一切触れていませんが、開始10分で「ああ、そういうことか」とすぐにわかります。

わたしがとくに良いと思ったのはエイリアンの表現の秀逸さでした。それは、エイリアンがSF的に良く出来ている、という意味ではなく、この映画におけるエイリアンの立ち位置を全うする造形を追求している、という意味での秀逸さでした。

すがたかたちから生活様式にいたるまでが、絶妙に擬人化されていて、同時に絶妙に異形。見慣れない姿だから怖い、そのうえ特異な生活様式を持っている、でもどことなく人類との共通点はある様子。理解は難しそうだができなくはない、あるいは、理解出来そうだが無理かもしれない、というギリギリのラインをついてきます。

そんな風にしてギリギリのラインを行ったり来たりしつつも、彼らには彼らの尊重すべき生があるということは、物語が進行するなかで観客にはっきりと感じさせるようになっています。このことにより、エイリアンに対する人類の横暴さと身勝手さ、理解の難しい対象に対しての愚かな対峙の姿勢が際立ちます。SF的な画面の体裁をそこなうことなく、かつ、この映画における存在意義を全うする造形としては、ベストなポイントを見事に突いたエイリアン表現だと、わたしは思いました。

このように自己批判的(監督は南ア出身の白人)にアパルトヘイトを隠れたテーマながら強烈に意識させる内容に仕立てつつも、画面上ではエイリアンと人間のコンタクトが極めてSF的に展開するという不思議な両立には、技術と努力による裏打ちと高い志、そしてSF映画への愛を感じます。技術と努力と高い志、そして(SF)映画への愛を感じる映画、それってつまりパーフェクトってことではないでしょうか。

そんなわけで、District9は2009年のベストムービーなのです。

最近観た映画メモ

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THE HANGOVER / ★★★★
アダルトスクールと同じトッド・フィリップス監督による話題作。日本では公開されない模様。いろいろとバランスのいい娯楽作品でした。男って楽しそうだなぁ。

ヘアスプレー / ★★★★ (再鑑賞)
DVDを買ったので再鑑賞。何度観ても最後のシーンで泣ける。たくさんの人が笑顔で歌い踊る情景には、人を幸せにするちからがあると思う。60年代ファッションも大変素敵。アマンダ・バインズってムチっとした顔であんまり好きじゃなかったんだけど、この映画で好きになった。

BOLT / ★★★★★
文句なしに可愛い動物アニメ。わたしはとにかく鳩にやられてしまって、鳩が登場する場面は笑いっぱなしだった。★5つのうち2つは鳩ボーナスです。鳩の動きの面白さを愛する全ての人に観て欲しい。それ以外の人にもまあまあおすすめです。

最近観た映画メモ

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インフォーマント / ★★
盛大に寝た。延々と不協和音を聴いているような不思議な感覚。
もう一回観てみたい。

カールじいさんの空飛ぶ家 / ★★★
いろいろと強引。だけど悪くない。
それにしてもブログなどで「カールおじさん」と誤記している人の多さに苦笑い。国民食だな、カール。

ヒート / ★★★
アル・パチーノとロバート・デニーロの見分けがつかず苦労した。どうもイタリア系の見分けが苦手らしい私。

銃撃戦のシーンが、今まで観た映画のなかで一番良かった。緊張感の演出と効果音の使い方がすばらしい。銃が恐ろしい武器だということ、を、すっかり忘れてのんきに流し観できる銃撃や発砲のシーンが多いなか、ヒートの銃撃と発砲のシーンには一撃一撃に人をブルーにさせる力があった。
DVDを観ているときなどに長めの銃撃戦の場面になると、飽きて眠くなってしまったり、おやつや飲み物の補充にキッチンに立ってしまったりしがちな私なんだけど、ヒートはじっくり観た。

しかし、ハードボイルド映画においてしばし登場する、強引で無口でなんだか悪そうな男に、困った顔をしながらも付いていって最後に悲しい思いをすることになる女、に対し、いつものことながらイラっとしてしまう。共感できないということではなく、作り手の男性の妄想の具体化というかんじがするから。わたしはハードボイルドが苦手なのではなくて、ハードボイルド志向の人間、というのが苦手なんだろうと思う。で、それは男が夢見がちな女に対して「むむ」と思うのと表裏をなしている気がするので、同族嫌悪みたいなものなんだろうと思う。

アバター / ★★★
原生林の描写が好き。
映画を観た、というよりも、アバターというアトラクションを体験した、という感覚になった。CGや3Dのクオリティと、ストーリーの完成度のバランスを取ることって、今後の超大作CG映画に課せられた大きな課題だなあと思う。

ワールド・オブ・ライズ / ★★★
いまやひとつの定形となった感のある、中東で生きるか死ぬかという思いをするアメリカ人が主人公の映画。退屈せず楽しんで観ることはできたんだけど、なんとなく既視感があるというか、古い感じがするというか。
もっとたくさん観ているはずなのですが思い出せません・・・。かろうじて観たことを覚えていても、感想はおろか内容すら覚えてないものも多々。思い出したら追加して書こうと思います。
ちかごろは MADMEN というアメリカのドラマに夢中です。

エル・マリアッチ ★★★
その土曜日、7時58分 ★★★★
サマーウォーズ ★★★★★
マインドゲーム ★★★★★
俺たちステップブラザーズ ★★
ブラインドネス ★★★
ダーク・シティ ★★
バビロンA.D ★★
モールコップ ★★
フロスト×ニクソン ★★★

呪怨(ビデオ版)1・2 呪怨(劇場版) ★とかつけるほどちゃんと観てない
十把一絡げですみません。全部怖かったです。
怖かったので、クイックルワイパーの不織布に穴を開けてその隙間越しに観ました。
スプラッタもホラーもずいぶん平気になりましたが、Jホラーは本当に無理だ。

スター・トレック ★★★★★
最高。ひと晩に二回も見てしまった。

モンスターVSエイリアン ★★★★
セス・ローガンが声を演じた、脳がないからバカっていう設定のモンスターが可愛いかった。リースウィザースプーンが演じた主人公も、なんともいえず好感の持てるキャラクターで良かった。

DRAG ME TO HELL(邦題「スペル」) ★★★
英語で鑑賞したので原題で表記。典型的なB級ホラー。みもふたもない怪奇現象が愉快でした。

くもりときどきミートボール ★★★★
巨大な食べ物が空から降ってくる、ただそれだけでもう★5つ。アイマックスで観て良かった!

ダイアリーオブザデッド ★★
ゾンビ映画なのにゾンビがあんまり出てこない(人数も少ないしすぐ倒されちゃう)。そのうえ登場人物が不要な屁理屈ともいうべき行動原理のもとに行動するのでなんだかとってもイラっとした。
ものすごい量のゾンビがうわーっと迫ってきて、勝ち目なし、逃げ道なし、さあどうする!という絵柄はゾンビ映画に不可欠だと思うんだけどなー。

イングロリアス・バスターズ ★★★★★
爽快流血暴力映画。ブラピのバカな演技が最高によい。劇場に観にいったら、とある場面で、自分は「わは!」と笑ったんだけど、隣の席に座ってた女性は「ひっ」といって連れの人にしがみついてた。ちょっと恥ずかしかった。

ディセント ★★★★
暗い洞窟に妙齢の女性数名が閉じ込められて滑った転んだ・・・という超つまらなそうなストーリーなのですが、すんごい面白かった!あらゆる方向から恐怖心を刺激してくれる、とてもよくできたホラー映画だと思います。おすすめ。

インプリント ぼっけぇきょうてぇ ★★
三池監督は好きだけどこれはきつかった。残酷描写のオンパレード。和風グロは胃にきます。
コンベンション作品とのことですが、これみて外国の人はどう思ったんだろうか。

Author

映画と猫と旅行が好きな
70年代後半うまれの女性

★Stars

★★★★★
何度でも観たい。
★★★★
おすすめ。
★★★
悪くない。
★★
人には薦めない。

観なきゃ良かった。

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